そもそも、ギタスナフェスの「ギタスナ」、聞き慣れないそれが何なのか知らない方もいらっしゃるのではないのでしょうか?
『街行くギターケースの中身が気になって仕方がない。』というコピーと共に、ギターを抱く人々のスナップ撮影。
これは「ギタースナップス」という、フジタ氏が4年ほど前から始めた「ギタスナフェス」の土台となる活動です。
この活動を始めたと最初に聞いた時、私はこう思いました。「なんでギターケースの中身なんかが気になるんやろ?」
そこから4年の月日が流れた今、「ギタースナップス」が、多くの人を巻き込んだ野外フェスにまで進化しているではないか!
新たな驚きを感じた私は、改めて、そもそもギタースナップスを始めたきっかけの話をフジタ氏から聞くこととなりました。
そこには、フジタ氏とタナカ青年との、青春物語がありました。
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今でこそ「音楽を信仰している!」と公言する程の音楽好き、そして楽器好きなフジタ氏ですが、元来はメカ好き、仕組み好きのバリバリ理系少年でした。
中学の時は成り行きで入った吹奏楽部でチューバを担当。地味に低音を鳴らしているも、音楽に対する興味は皆無だったそうです。
しかし、高校に入り依然バリバリの理系男子道を進むフジタ氏の前に、ベースを抱えた幼馴染みの「タナカ」が颯爽と現れました。
吹奏楽部でいろんな楽器に触れてはいたフジタ氏でしたが、ベースを見るのはその時が初めてでした。
しかも、小さい頃から知っているタナカがベースを弾く眩しい姿は、フジタ氏の心に火をつけました。そして、即日タナカに弟子入りすることとなりました。
そこからは毎日毎日ベースの弾き方を教わり、ある程度手に馴染んで来た頃にはメカ好きの血が騒ぎ始め、ベースを分解し、改造、そして販売。
その元手で新しいベースを購入。新しいベースを持ってタナカに弾き方を教わり、馴染んだ頃には同じように、分解、改造、販売。そしてまた新たなベースを手にする、そんなベースにどっぷりの毎日。
フジタ氏がここまでベースにはまり込んだのは、ひとえにベースを弾くタナカがカッコ良かったから。
「オレも、タナカみたいにベース弾けるかっこいい奴になりたい!」
その一心で、青春時代をベースに捧げたそうです。
進学、卒業、就職を迎え、相変わらずベース三昧の日々を過ごすフジタ氏。別々の道を進んだタナカも、もちろんベース三昧の日々を過ごしているのだろう、と信じて疑っていませんでした。
しかし、久しぶりにタナカに会った時、思いもよらない事実を突きつけられます。
なんとタナカはベースを諦め、愛用のベースを全て売り払い、音楽を通した表現活動を一切辞めていたのです。
それを知った時のフジタ氏の衝撃は相当なものでした。自分の青春の思い出すら、強制的にもぎ取られてしまったような寂しさに襲われたそうです。
「タナカがベースを弾く姿を、金輪際見ることができないなんて・・・」
その時気がつきました。どれだけ楽器や音楽を愛していても、そのまばゆい姿は「今」しか見られないんだ。この輝きがいつまでも続くことなんてないんだ。それなら自分が、楽器や音楽を愛する人達のまばゆい「今」をしっかり見て、目に焼き付けよう。その輝きが永遠となるように。
その時静かに決心したこの想いが、後に「ギタースナップス」という撮影活動に繋がりました。
また、ギタースナップス活動を続けて行く中で、フジタ氏の中に「ある想い」が湧いてきました。
こんなに眩しい姿を見せてくれた人達に恩返しがしたい。そして、自分にとってのタナカのように、それぞれの心に火を灯す存在との出会いがありますように。
楽器や音楽を愛する人々への感謝が、「ギタスナフェス」に繋がっているそうです。
これが、ギタースナップス、そしてギタスナフェスの始まりの始まりの話でした。
あなたの「今」のまばゆい姿がフジタ氏の大好物。音楽や楽器を通して、心の輝きを残していけますように。フジタ氏は今日も、その気持ちを胸に抱いてギターケースを抱える人を追いかけています。
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今年のギタスナフェスに参加してひしひしと感じたのは、「フジタ夫妻を応援したい」という、サポートしてる人たちの強い想いです。
幼馴染みがベースを辞めてしまったショックが活動のキッカケになっている、という所からも分かるように、とにかくピュアな想いを胸に持って、地道にコツコツと活動を続けてきたフジタ氏。そしてそれを支えるMusiKaちゃん。
その2人の真っ直ぐな姿勢が、きっとあれだけの人の心を動かし、そしてギタスナフェスが成り立っているのだと思いました。
人生の転換期なんて、他人のほんの些細な行動に起因してることがほとんどなんでしょうね。ならば、自分の人生を生きてるだけで充分に周りに影響を与えている。そして、そんな人たちが出会いあって、同じ時を一緒に過ごすことのできる場。それがギタスナフェスの魅力です。
2019年のギタスナフェスも、今から楽しみですね〜!
取材:yasuko takagi
https://note.mu/yasukonoengawa